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4章:本編1⑤
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最初にザザザと山肌を滑るように降りた後、枯れ木にしがみついて勢いを殺し、
そこから先は器用に木の枝につかまりながら、あっと言う間に谷の底近くへたどり着いてしまった。
地元民の二人も驚いたようにそれを見つめている。
「なにかあるんですか?」
僕は両手でラッパを作って声を上げる。
師匠は谷の奥でうろうろしながらせわしなく動いている。
「ああ。こいつは地滑りの跡だ」
斜めに生えている潅木を叩きながら返事が返ってきた。
その谷は途中から水が湧いていて、さらに下へと流れていっている。
師匠はそのあたりの土を掘ったり木を揺すったりしながらその周囲を探索していたが、
やがて山肌から突き出ていた石の前にしゃがんで、堆積した土や苔などを手で払い始めた。
僕たちの眼下でその動きがふいに止まり、またすぐに立ち上がったかと思うと、そばの谷川の淵へ近寄っていった。
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