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1章:パンドラ[禁后] (1/22)

1章:パンドラ[禁后]

私の故郷に伝わっていた「禁后」というものにまつわる話です。
どう読むのかは最後までわかりませんでしたが、私たちの間では「パンドラ」と呼ばれていました。



私が生まれ育った町は静かでのどかな田舎町でした。

目立った遊び場などもない寂れた町だったのですが、一つだけとても目を引くものがありました。

町の外れ、たんぼが延々と続く道にぽつんと建っている一軒の空き家です。

長らく誰も住んでいなかったようでかなりボロく、古くさい田舎町の中でも一際古さを感じさせるような家でした。

それだけなら単なる古い空き家…で終わりなのですが、目を引く理由がありました。

一つは両親など町の大人達の過剰な反応。

その空き家の話をしようとするだけで厳しく叱られ、時にはひっぱたかれてまで怒られることもあったぐらいです。

どの家の子供も同じで、私もそうでした。

もう一つは、その空き家にはなぜか玄関が無かったということ。

窓やガラス戸はあったのですが、出入口となる玄関が無かったのです。

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パンドラ[禁后] ©著者:hare

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