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16章:笑っていました
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16章:笑っていました
物心のついたときにAはすでにいじめられていました。
Aはいつもにこにこしているのに、どうしてだろうと親戚は首をかしげていましたが、
医者も両親も驚くほど、Aはいつもにこにこしているのです、というよりも笑顔しか表情がないのです
小学生になり、Aはやはりいじめられていました。
Aはかえるの死骸を食べさせられても笑っていました。
トイレに放課後まで閉じ込められても、やはり笑っていました。
突き飛ばされ怪談から転げ落ち、顔の真ん中が裂けて9針も縫う大怪我を負っても
やはりAは笑っているのでした。
気味が悪い、と、Aは今度は無視されるようになりました。
それでもAは笑っていました。
中学時代、Aは父親の転勤で引っ越しましたが、
その土地でもやはりいじめられました。
上履きに画鋲を入れられ、落書きされ、机にボンドを塗られ、自転車に泥を塗られ、
体育のサッカーの時には腹に蹴りを入れられ、掃除の時間にはバケツの水を頭から被せられ…
およそ全てのいじめを体験したといってもいいくらいでした。
担任は見るに見かねてAといじめに関わっている全員を指導室に呼び、
一同にAにたいして謝らせましたがAは笑って許しました。
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