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1章:冬馬君の優しさ
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歩き疲れた足を近くのベンチに座り、休める。
「やばい…完全に迷子だ…」
携帯を手に取り、アドレス帳から『冬馬君』を探す。
出なかったら…何とか自力で帰ろう。
そう決心し、発信ボタンを押した。
コールが鳴る。
まだ2回しか鳴ってないというのに、「やっぱり迷惑かな」という気持ちが押し寄せ、切ろうとした時…
「…し?もしもし?」
と、冬馬君の声が聞こえた。
慌てて離した携帯を再び耳に当てる。
「あっ…えっと、私!彩」
「やっぱり彩ちゃんか!そうだと思ったよ。どうしたの?分からなくなった?」
冬馬君の声と共に、車の走る音、風の音が聞こえ、きっとバイトから帰っている途中なんだと分かった。
「えっと…うん…ちょっと…ごめん」
そう私が言葉を発する前に、鍵を開ける音が聞こえた。
「あ…やっぱいいや!ごめん!分かった!今思い出した!ごめんね。ありがとう」
切ろうとした時
「彩ちゃん今何処!?居る場所分かる?分かんないなら近くの建物教えて」
と、強い口調で言われ、驚きのあまり正直に近くにある建物を教えた。
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春夏秋冬4【完結】 ©著者:みるみる
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