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4章:「承」②
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4章:「承」②
そしてドアに向かうため踵を返そうとした私の顔の近くで、「やっとデートに誘っ
てくれたわね」と言う。
やっぱり出た。
ムカッとしながら、それを無視してさっさと教室から出る。私たちは非常口の外の
階段まで歩いた。
風が首筋を吹き抜け、空から夏の陽射しが降り注いでくる。他に人はいない。
「で」
間崎京子は手すりに身を寄せて地面を見下ろした後、顔をこちらに向ける。
「知っていることを全部話せ」
「……唐突ね」
さして驚いた様子もなく京子はニコリと笑う。
私はこの女と腹の探り合いをすることの面倒さを考慮して、こちらが知っているこ
とをすべて並べ立てた。
本を買って調べた『ファフロツキーズ』のことまで。
彼女はそれを面白そうに聞きながら、ワザとらしい動きで顎を右手の親指と人差し
指で挟む仕草をする。
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