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9章:恋人
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僕の誕生日の翌月が樹里の誕生日だ。
誕生日を三日後に控えたある日。
樹里の家でゲームをしていると、話が切り出された。
「ねぇ、どうしようか?私はその日は仕事だけど、終わってからご飯でも行く?」
そう提案する樹里に…
「仕事って事は帰ってくるの遅いんですよね?僕、次の日学校なんで遅い時間の外出は避けたいです。そういうわけなんでその日は樹里さんの家でお祝いしましょう。ていうか、先に樹里さんの家に行ってていいですか?遅い時間から出るのダルいんですよ」
と、いかにも適当に返事をした。
手も止めずにそんな事を言ったものだから流石の樹里もムッとした。
その様子に全く気が付いてない振りをしながらゲームを続けていると“わかったよ”と呆れたように合鍵を渡してきた。
作戦成功。
こうして僕はまんまと樹里宅の鍵を入手した。
「お風呂入ってくる」
そして樹里はいかにも不機嫌そうに風呂場に向かった。
きっと心の中は僕への恨み言でいっぱいだろう。
そうして居られるのも今のうちだ…
風呂場に向かう樹里の背中を見送りながら眼鏡を光らせた。
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