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7章:奇跡 (6/6)

こんな馬鹿共に絡まれて樹里だって迷惑に違いない。


何としてでも早々にこの場から立ち去らないと。


そう思い、奴らを一蹴させるべく言葉を探したところで思い止まった。


これって…
前に同じような事があったよな。


あの時、僕は確か…


“違うよ…”


そうだ。
僕はそう言ったんだ。


そしたら樹里が帰ってしまった。


去り際の樹里は今にも泣きそうな顔をしていた。


こいつらの前で下手な事を言ったら、後々何を言われるかわからない。


おそらく次の日にはクラス中の知るところとなるのは目に見えていた。


そう考えたらああ言うしかないと思ったんだ。


樹里は何も言わなかったが傷ついていたに違いない。


僕はあの時はガキで奴らのネタになるのがどうあっても嫌だったんだ。


でも今は違う。


僕は…樹里を傷つけない。


「おい、冬月ぃ♪何とか言えよ?」


僕は樹里の腰を引き寄せると深野を軽く睨んだ。


「この人は僕の大切な人だよ。あとはそっちの想像に任せる。もういいだろ?また明日学校で」


樹里の手を引くと、その場をあとにした。


歩きながら僕は勝利の余韻に浸っていた。


凄い…
今の僕には運命を変える事も出来る。


僕は奇跡の力を手に入れたんだ!


だってほら、樹里はきっとご機嫌に決まってる。


「幸一郎君、痛いよ…」


力を加減せずに引っ張ったせいだろうか。


足を止めて、後ろを振り返った。


樹里の表情は僕の想像していたものとは大きく違った。


ご機嫌どころか曇り顔をしていたのだ。


そしてその口からは思わぬ言葉が飛び出した。


「…ねぇ、あんな事言っちゃって大丈夫なの?」


…は?
何言ってるんだよ。


あの時、僕が否定したらアンタは帰ってただろ?


直接言えるわけもなく押し黙った。


「…帰ろうか?スーパーで買い物していかないとね」


しばらくの沈黙のあとに樹里は俯き加減で呟いた。


「ああ、うん…」


何となく気まずい雰囲気のままでスーパーで夕飯の材料を買うと樹里の家に向かった。


何なんだよ、もぅ!


否定したら気まずくなるし、肯定しても何だか気まずいし。


折角、勇気を出したのにな。


何だよ、樹里の馬鹿…

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愛証 ©著者:ゆえ

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