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3章:後悔 (4/4)

住所だけを頼りに家を探し、着く頃には辺りはすっかり暗くなっていた。


アパートの階段を音を立てずに上がり、部屋の中に入った。


中に入ると部屋が一つしかない上にその狭さに驚いた。


これで月六万?
嘘だろ…。


今までの家とのあまりの差に衝撃を隠せない。


家具は前の家の物をそのまま持ってきたらしく狭い部屋には不釣り合いだった。


ベッドに腰を掛け、呆然と天井を見上げた。


これからどうすれば…


生きていく為にはお金が要る。


働かなくては。


でも高校も出てなく犯歴もある僕を雇うところなんてあるのだろうか。


母はどうなるのだろうか。


もしかしたらずっとあのまま…


漠然と将来への不安がつのり、そしてそれは頂点に達した。


頭を抱え立ち上がると、カーテンを力任せに引きちぎり雄叫びを上げた。


何て事だ。


僕が全てを壊してしまったのだ。


僕自身の将来も、僕の家族も、樹里も…!!


どんなに悔やんでも時が戻るわけもない。


それでも行き場のない想いを物に当たり散らす事しか出来なかった。


再び呆然としているとある事が頭をよぎった。


樹里の家族はどうしているのだろうか。


大切な娘を失い絶望に支配された毎日を送っているのだろうか。


ゆっくりと立ち上がると僕の手によって荒らされた部屋を片付けた。


こんな事をしている場合ではない。


僕にはやらなければならない事があるのだ。


佐賀に行って樹里の家族にきちんと謝ろう。


許してもらえるなんて思わない。


それでも謝罪をする事で何かが変わる気がしたのだ。


次の日、僕は樹里の家族に会う為に佐賀へ向かった。

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愛証 ©著者:ゆえ

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