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57章:墓 (1/9)

57章:墓

暑い。
我慢ができなくなり、上着を脱いで腰に結んだ。
一息ついて山道を振り返る。
林道が何度も折れ曲がりながら山裾へ伸びている。下の方にさっき降りたバス停が見えるかと思ったけれど、背の高いスギ林に隠されてしまっていた。
右手に握り締めた紙が汗で柔らかくしなっているのがわかる。
街を出るときは今日は冷えそうだと思ってそれなりの服装をしてきたのに、思いのほか強い日差しと山道の傾斜が日ごろ運動不足の身体を火照らせていった。

「よし」

たった一人だ。誰にとがめられるわけでもないけれど、早く先へ進もうと思った。
足を踏み出す。
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師匠シリーズ ©著者:hare

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