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55章:引き出し (1/31)

55章:引き出し

大学三回生の夏だった。
早々にその年の大学における全講義不受講を決めてしまった俺は、バイトのない日には暇を持て余していた。

特に意味もなく広辞苑を一ページ目から半分くらいまで読破してしまったほどだ。

全部をやりとげないあたりがまた俺らしい。

ともかくそんな屈折した毎日に悶々としていたある日、知り合いから呼び出しを受けた。

かつて、都市伝説などを語らう地元の噂系フォーラムに出入りしていた時に出会った、音響というハンドルネームの少女だ。

このあいだまで別の名前でネット上にいたらしいが、「音響」時代を知る俺と二年振りに再会してからなにか思う所があったらしく、またそのハンドルネームを名乗っているようだった。

いったい何の用だと訝しく思う気持ちもあったが、黙って座っていると周囲の男どもがチラチラ視線を向けてくる程度には可愛らしい容姿をしている彼女なので、悪い気はしない。

ただその視線の半分はゴシック調で固めたそのファッションに向けられる好奇の目であったかもしれないのだが。

指定されたカレー屋で待ち合わせ、少し遅れてやってきた彼女ととりとめもない話をする。

カレー屋陰謀論という頭の痛くなりそうな理論を淡々と語る彼女に、

「カレーを食べた後に犯罪を犯す人が多いというのは、単なる蓋然性の問題。それだけ食される機会の多い料理だということ」と反論すると、

「蓋然性ってなに」と聞いてくる。

「蓋然性ってのはつまり、ネジにたとえるなら、その絶対量からしてバギーちゃんのかけらというよりはポセイドンの部品なんじゃないかなってことだ」

と言うと、

「バギーちゃんってだれ」と返される。

「ドラえもんの大長編って見たことない?」と聞くと、

「ない」

そこで会話が終わった。
歳は確か俺の四つ下のはずだ。これもジェネレーションギャップなのか。
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師匠シリーズ ©著者:hare

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