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35章:海 (1/9)

35章:海

大学2回生の夏。
俺は大学の先輩と海へ行った。
照りつける太陽とも水着の女性とも無縁の、薄ら寒い夜の海へ。
俺は先輩の操る小型船の舳先で震えながら、どうしてこんなことにな
ったのか考えていた。
眼下にはゆらゆらと揺らめく海面だけがあり、その深さの底はうかが
い知れない。
ときどき自分の顔がぐにゃぐにゃと歪み、波の中にだれとも知れない
人の横顔が見えるような気がした。
遠い陸地の影は不気味なシルエットを横たえ、時々かすかな灯台の光
が緞帳のような雲を空の底に浮かび上がらせている。

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師匠シリーズ ©著者:hare

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