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22章:顔 (1/5)

22章:顔

大学1回生の冬。
大学生になってからの1年弱、大学の先輩であり、オ
カルト道の師匠でもある人と様々な心霊スポットへ足
を踏み入れた俺だったが、さすがに寒くなってくると
出不精になってくる。
正月休みにめずらしく師匠が俺の下宿に遊びに来た。
とくにすることもないので、コタツにもぐりこんで俺
はゲームボーイを、師匠はテレビをぼーっと見ていた。
ふと、師匠が「あれ?」
と言うので顔を向けると、テレビにはダイバーによる
どこかの海の海底探査の様子が映っていた。
「この石像って、あ、消えた」
すぐに画面が切り替わったが、一瞬だけ見えた。
地中海のエジプト沖で、海底にヘレニズム期の遺跡が
発見されたと、アナウンサーが報じていた。
海底に沈んだ石造りの古代の建造物が、ダイバーの水中
カメラに映し出されている。
その映像の中に、崩れた石柱の下敷きになっている石像
の姿があったのだ。
なにかの神様だろうそれは、泥の舞う海の底で苦悶の表
情としか思えない顔をしていた。
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師匠シリーズ ©著者:hare

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