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19章:将棋 (1/10)

19章:将棋

師匠は将棋が得意だ。
もちろん将棋の師匠ではない。大学の先輩で、オカルト
マニアの変人である。俺もまた、オカルトが好きだった
ので、師匠師匠と呼んでつきまとっていた。
大学1回生の秋に、師匠が将棋を指せるのを知って勝負
を挑んだ。俺も多少心得があったから。しかし結果は
惨敗。角落ち(ハンデの一種)でも相手にならなかった。
1週間後、パソコンの将棋ソフトをやり込んでカンを取
り戻した俺は、再挑戦のために師匠の下宿へ乗り込んだ。
結果、多少善戦した感はあるが、やはり角落ちで蹴散ら
されてしまった。
感想戦の最中に、師匠がぽつりと言った。
「僕は亡霊と指したことがある」
いつもの怪談よりなんだか楽しそうな気がして、身を乗
り出した。
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師匠シリーズ ©著者:hare

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