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9章:壺 (1/6)

9章:壺

これは俺の体験の中でもっとも恐ろしかった話だ。

大学1年の秋頃、俺のオカルト道の師匠はスランプに陥っていた。
やる気がないというか、勘が冴えないというか。
俺が「心霊スポットでも連れて行ってくださいよ〜」
と言っても上の空で、たまにポケットから1円玉を4枚ほど出したかとおもうと
手の甲の上で振って、
「駄目。ケが悪い」
とかぶつぶつ言っては寝転がる始末だった。
それがある時急に「手相を見せろ」と手を掴んできた。
「こりゃ悪い。悪すぎて僕にはわかんない。気になるよね? ね?」
勝手なことを言えるものだ。
「じゃ、行こう行こう」
無理やりだったが師匠のやる気が出るのは嬉しかった。

どこに行くとは言ってくれなかったが、俺は師匠に付いて電車に乗った。
ついたのは隣の県の中核都市の駅だった。
駅を出て、駅前のアーケード街をずんずん歩いて行った。

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師匠シリーズ ©著者:hare

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