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11章:頭のない人形
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そして次の日、職場で会うなり松田は案の定嬉しそうに「お祖父ちゃんが来てくれた」と言って来た。まんまと引っ掛かったらしい。
あまりに嬉しそうな様子に、途端にものすごく罪悪感が沸いて、何もかも話して謝りたくなった。が、さらに松田を傷つけてしまうのも怖かったので黙っていた。イタズラなんかするもんじゃないと心底思った。
それから何事もなく数週間が過ぎたある日、仕事を終えて寮に帰ると松田の部屋のドアの前に何かが落ちていた。
何気なくそれを見て、俺は背筋が凍り付くのを感じた。
それは、あの人形だった。いや、人形の「足」だった。
頭や胴体は無く、ご丁寧に足の部分だけがちょこんと並べられていた。
もちろん、今度は俺のイタズラなんかじゃない。
「カズ!!!!!カズ!!!!開けろ!!!!」
無性に怖くなった俺はドアを叩いて松田を呼んだ。すると松田はひょっこりと顔を出し、俺と人形の足を見つけると
「あ!!今日も来てる!!」
と嬉しそうに笑った。
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