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7章:振り向くな
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しかし手には何かあたる感触はしない。ただミラーに映る手は段々と俺の腰から胸元に移動していき、長い黒髪は狂ったように風に揺れている。
「ケイさあぁあん!!助けてくださいぃいぃい!!!!」
俺はケイさんにしがみつき、絶叫した。ケイさんは「お前もう死ねクソ野郎!!!」と叫ぶと、ものすごくスピードをあげてトンネルを突き抜けた。その運転も恐怖だった。
トンネルを出てどっかのコンビニにバイクを止めると、ケイさんは息を荒くして俺の腰周りを手で払った。
パン、ぱんとはたかれるたびに泥のような砂のようなものが俺の背中から落ちてきた。それはあの土気色の手を思い出させて、目茶苦茶気持ち悪かった。
「取りあえず顔洗って、塩気強いモン買って来て食え。てゆうか俺の前から消えろ。」
とケイさんは言った。
「あと、しばらく絶対振り向くな」と。
振り向いたらあの黒髪と土気色の手の主がいるような気がして怖かったので、もちろん振り向けなかった。
あの手の主が何なのかはわからないが、決して良いものではないのは確かだ。取りあえず俺は恐怖で足をガクガクさせながらもフラフラとコンビニに入り、トイレを借りて顔を洗った。
そしてうす塩味のポテトチップスを買って、コンビニを出た。
そこに、ケイさんはもういなかった。バイクごと跡形もなく。つまりは置いていかれたわけだが。
取りあえず二度とケイさんと心霊スポットには行かないと心に誓った。
【えんd】
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