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19章:遺書
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死体安置室は地下にあった。
薄暗い廊下を進む。
全身が震え、冷たい汗が吹き出る。
警官は、重々しい扉を開けると「どうぞ」と言って先に俺を通した。
金属製の台に横たわる人。
白い布が全身に掛けられている。
頭上には線香が立てられ、それは紛れもなく死の香りがした。
俺は無言で近付き、顔に掛けてあった布をそっと捲った。
そこには、とても穏やかな冴子の死に顔があった。
嘘だろ..........?
冴ちゃん..........?
ほんとは生きてるんだろ?
そんな俺の心の声を警官が打ち消した。
「薬物過剰摂取により、嘔吐した薬が肺に詰まったそうです。急性肺炎を起こしての窒息死という事ですね」
「.....苦しんだんでしょうか?」
「そりゃ、窒息死ですからね」
それを聞いた途端、俺の理性は吹っ飛んだ。
「あああああっっ!!俺は人殺しだ!!」
絶叫し、泣くだけ泣いた。
どのくらい時がたったのだろう。
涙も枯れ果てた俺は、そっと冴子の髪を撫で、色を失った口唇にkissをした。
最初で最後の冷たいkissだった。
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