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17章:追い打ち (2/5)

それから俺は仕事を全て休業し、治療に専念した。


家の外に出るのは、病院と、冴子に会う時ぐらいだ。


もう、利き腕の右手は殆ど使えず、家事をするのも一苦労。


よほど、冴子を呼んで手伝ってもらおうかと思ったが、愛情もないのに一線を越えてしまいそうで止める事にした。


毎日、抗生物質を飲み、点滴を受けたが、良くなるどころか悪化する一方で、どんどん血液の数値が悪くなっていった。


そして、腕の何ヶ所かに孔が開き、そこから膿が出始める。


1日何回もオキシドールで消毒し、包帯を巻き替えるが追い付かない。



「高瀬さん、もう限界ですよ。手術しないと危険です」


医者からの宣告。


覚悟はしていたが、正直かなり堪えた。



その時点ですでに2ヵ月経っていた。


今更、手術など出来ない。


「前にも言った通り、お金が無くて手術なんか出来ないんですよ。ちょっと考えさせて下さい」


家に帰ると、俺はベッドに倒れ込んだ。


冴子の左手の麻痺は生まれつきなのだろうが、その苦しみや痛みが分かった気がした。


それを俺はWワークしろなどと言って追い詰め、彼女を苦しめたのだ。


ブブブブーン.....ブブブブーン.....


こんな時に電話なんて誰だ?


着信は冴子からだった。


何だか、すごく嫌な予感がした。










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桜の木の下で ©著者:僚

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