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16章:病
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冴子はそんな俺を宥める様に言った。
「だから、英司はこのお金がある間に元気にならなくちゃ。ただ、手術のお金には足らないと思うから、ゆっくり自宅休養して病院に通って頂戴」
俺はとてつもない不安に襲われた。
そして、恐る恐る聞いた。
「.....結婚しちゃったら、もう会えないの?」
すると、冴子は微笑みながら首を横に振った。
「介護の仕事に行く許可だけはもらったわ。だから、その日に英司の都合が良ければ会えるし、貰ったお金も渡せるわ。ただ、回数はだいぶ減ってしまうわね」
結婚してからも俺を支えてくれるつもりなんだ.....。
冴ちゃん..........。
不意に冴子が呟く。
「最初から英司と暮らせば良かった。体の関係なんてなくていい。愛してもらえなくてもいい。英司といられるだけで幸せだったのに.....」
俺は冴子の肩を抱き寄せた。
気丈に振る舞っていた冴子は俺の胸で静かに泣いた。
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