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16章:病
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「痛っ!」
ガッチャーン!!
しまった!!
またやってしまった!
右の二の腕に激痛が走り、お茶の入ったピッチャーを床に落としてしまったのだ。
「おい、おい、何回目だよ。今度やったら弁償だかんね」
マネージャーはそう言いながらも心配そうに聞いてきた。
「英司、どっか具合悪いんじゃないの?」
「いえ、大丈夫です。ボーッとしてて。すみません」
「ならいいけど.....無理すんなよ。体調悪かったらちゃんと病院に行きな」
マネージャーに言われて俺は考え込んだ。
う〜ん、病院かぁ.....。
面倒くさいな。
でも、ちょっと行ってみるか。
俺は数年前にバイクで転んで、右の二の腕を骨折している。
このところ、そこが痛んでどうしようもないのだ。
最初は疼く程度だったが、我慢しているうちに、今じゃ痛みでろくすっぽ物も持てない。
その夜はアルコールを控え、翌朝、近くの大学病院に足を運んだ。
予約無しで行った為、二時間以上も待たされやっと診察。
俺の話を聞いた医師は難しい顔をして言った。
「どうして、もっと早く来なかったんですか。とりあえず今日は血液検査とX線検査をして帰って下さい。一週間後に結果が出ますから予約入れておきますね。必ず来て下さいよ」
「は、はい.....」
何なんだ?
俺はそんなに重病なのか?
きっと、また骨にヒビでも入ったんだろう。
厄介な事になった。
まぁ、なんとかなるさ。
俺は軽い気持ちで検査を受けた。
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