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15章:運命共同体
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ファミレスや牛丼屋で、安い食事をした後に冴子の好きな近所の公園で小一時間過ごす。
たくさんの野良猫がいて、冴子はそこを猫の公園と呼んでいた。
ベンチの側に桜の大木があり、辛い事や嫌な事があった時には、その木を観て心を癒やすのだと言う。
そこで、俺は冴子から金を受け取り、ありがとうも言えないままポケットに突っ込むのだ。
それでも冴子は、私は幸せよと涙ぐんでいた。
時は春を迎え、満開の夜桜がざわざわと騒ぐ。
「ねぇ、私達って、どういう関係なのかしら?.....もう、従業員と客ではない.....友達でもない.....恋人でもない.....教えてよ、英司」
冴子の問いに、俺は、大切な人です。
としか答えられなかった。
「英司と私は一蓮托生よ」
「何、それ?」
学のない俺には分からない。
「簡単に言えば、運命共同体かしらね」
一方的に俺が迷惑を掛けているのに、冴子はそれでもいいのだと微笑む。
俺は桜の木の下で、冴子を思い切り抱きしめた。
出会ってからもう2年。
こんな生活がずっと続くと思っていた。
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桜の木の下で ©著者:僚
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