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3章:出会い
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「英司さんって優しいし面白いのね」
冴子はクスクスと笑っている。
俺は俯いて頭を掻いた。
そこへマネージャーがやって来て耳打ちをする。
なんてこった。
こんな時に移動命令だ。
翔が冴子に付き、俺はまた痛客のお守り。
「冴ちゃん、ごめんなさい。ちょっと席外さなくちゃいけなくなりました。また来て下さいね」
「そうなの。このままお話したかったわ」
そんな事言われたのは初めてだ。
グラスを合わせると、俺は後ろ髪を引かれる思いで席を離れた。
きっと冴子は翔のテクニックにメロメロになってしまうだろう。
夜遊びした事がないなら尚更だ。
俺はいつも詰めが甘い。
絶好のチャンスだったのに。
冴子と翔が並んで座ってる卓のヘルプにだけは付きたくない。
キチガイ女の相手をしているうち、いつの間にか冴子は常連客とともに帰ってしまった。
俺ってほんとにつくづく鈍くさい。
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