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13章:言えない気持ち
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寒いなあ…やっぱりマフラー探してでもしてくるべきだった…。
話す度に白い息が広がる程の寒さを身に染みながら、夏希と会話を交していると、ふわっと急に首元が暖かいモノで包まれた。
「…え?」
驚き、目線を下げると、首元に掛けられたのは夏希のマフラーだった。
突然の出来事に、掛けられたマフラーを掴みながら、交互に夏希とマフラーを見た。
「寒いんだろ?いいよ。してて」
「いいよ!悪いよ!」
掛けられたマフラーを外し、夏希に押しつける様に返したが、受け取ってはもらえず、「黙ってしてろ」と、また掛けられてしまった。
「でも…」
「いいからしてろ!彩、寒いせいか、さっきから会話成り立ってねーんだもん」
「うそ!?」
「本当!『あー寒いなあ』『あー早く帰りたいなあ』って心で思いながら、適当に話してる感じ」
確かに…『寒いなあ』とは思ってたけど、『早く帰りたい』なんて思ってないよ。
と、言いたいのをぐっと堪え、いつもの調子で話を続けた。
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