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9章:見えないヒビ
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「彩、おかわり!」
綺麗に平らげたお皿を目の前に差し出した。
「自分で盛りなよ」
「いいだろそんくらい!ケチケチすんなよ」
「ケチケチしてないし!」
「じゃあいいじゃん」
「仕方ないなあ…」
笑顔で差し出されたお皿を、渋々受け取り立ち上がる姿を見ると
「新婚さんみたいですね」
と、秋元さんが冗談っぽく言い、笑った。
その瞬間、勢いよく椅子が引かれる音がし、驚いて視線を向けると冬馬君が立ち上がっていた。
リビングはシーン…と静まり、皆の視線は冬馬君に向けられていた。
「…あっ、ごちそうさま」
食べ終わった皿をキッチンのシンクへ運ぶと、そそくさとリビングを出て行った。
「…変な奴」
リビングを後にした冬馬君を見て、首を傾げる夏希。
「た…食べましょう!」
場を和ます様に、秋元さんがカレーをまた食べ進めた。
私はキッチンへ向かい、夏希のおかわりの分を盛る。
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春夏秋冬2 ©著者:みるみる
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