8章:彼氏 (2/3)

人の噂も七十五日、なんて言葉があるけれど、どうやら俺のネタもそのくらい経つと、ようやく飽きられてきたらしい。

バースデーから早くも二ヶ月と少しが過ぎたこの日、俺はあの暴露事件以来見ようともしなかった例のサイトを、久しぶりに見てみることにした。

するとそこにはもう暴露ネタなど無く、話題は別の方向へといっていた。

真由梨の事だ。

タワーをたてた事で一気に注目されるようになったのだろう、エースだなんだと騒がれているようだった。


「ったく、女って本当に他の客をうだうだ詮索するのが好きだよな…」


なんて呟きながら、携帯を閉じる。

しかし、まあ、その憶測は決して間違ってはいなかった。

そう呼びたくは無いのだが、そういう呼び方をするのなら、やはり真由梨は俺の『エース』になってしまっていたのだ。

変わらないペースで来店する真由梨の一度に使う金額は、確実にバースデー以前よりも多くなっていた。