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6章:一年振りに (1/2)

6章:一年振りに

今日、仕事帰りの時
信号待ちしていた。

見覚えのある対向車、
運転席を確認した。

一年振りに、
あの人を、見た。

去年の5月…
僕は、あの人と別れた。

十年の繋がりの人。
僕を愛してくれた人。
僕の全てを受け入れて
慈しみ愛してくれた人。

あの人、も
僕に気付いて
こちらを、見た。

懐かしくて、
愛しくて…
涙が込み上げた。

今の僕は…

あの人は言ってくれた。

もう十年早く出会っていたら…


他の人は私じゃなくてもいい…


でも、あなたは私じゃなきゃいけない


ずっと欲しかった言葉を
あの人は言ってくれたのに…


あの人は結婚していた。

世間では、不倫、と言われる。


でも、僕達は、
運命の出会い、と
思っていた。

たくさん、愛し合った。

いっぱい、愛し合った。

心も体も、
ぴったりと合った人。

一年振りにあの人、を
見た。


抱きたかった。
抱きしめたかった。
抱きしめてほしかった。
抱いてほしかった。

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犀の角のように… ©著者:真樹秋介

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