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6章:流雲
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あてもなく町をさまよう
夕暮れ時は人も時間も慌ただしい
大きなマンションの前でシャツの裾を引かれた
振り返ると2歳位の男の子
寂しそうなその瞳が俺にすがる
『今忙しいんだ。離せ』
スパンと切り捨てるような言葉に男の子はすごすごと手を離し俯いた
小走りにその場を離れると高校へ向かう大きな坂道を登る
生暖かい風に一瞬視界を遮られると綾が町を見下ろす姿を見つけた
『綾、帰ろう…』
俺の声に気付くと優しく微笑み駆け寄って来た。
『綾…日記どこにある?』
綾はただ風になびく柔かな髪を耳にかけ微笑むだけだった
『言いたくないなら、いいけど…』
微笑む綾にみとれたまま照れ隠しのように俺は拗ねてみせた
『遼ちゃん…大好きよ…』
風にかき消されるような小さな声で綾が呟く
俺も大好きだったよ…
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遼太の憂鬱 ©著者:ひぃ('-^*)/
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