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2章:意地でも触ろうとしてくる客
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付け回しが目の前を通る度に「早く抜いて」と目で合図していたのだが一向に抜かれる気配は無く、酒が減ったトシのグラスを見てお作りをしようとハウスボトルのウィスキーに手を伸ばした。
だが、、、
両手でボトルを持ちグラスに酒を入れているその最中にトシが勢い良く胸を触ってきて、ビックリした私は手元が狂ってその日新調したばかりの真っ白なドレスに思いきりウィスキーをこぼしてしまった
近くにあったお絞りで急いで拭いたのだが、健闘虚しくもうドレスはビチャビチャで薄く茶色に染まっている…
何度拭いても色が落ちる事は無く、ウィスキー特有のクセのある匂いが染み付いてしまった…
トシ「大丈夫
」
お前にはこれが大丈夫に見えんのか
テメェの着てるそのしょっぱいスーツよりこのドレスの方が遥かに値段が高いんだよ
弁償出来ないクセに私の商売道具を汚しやがってこの貧乏人がッ
こうなったらもう我慢はしない
私「両手が塞がってて抵抗出来ない時に無理矢理触ってくるとか気ちがいだね
」
ニッコリと満面の笑みでそう言った。
トシ「…」
私「まぁそうでもしないと女の体を触れる機会なんて無いからしょうがないかぁ
」
トシ「…俺は客だぞ?」
私「で?」
トシ「客に対してその口の聞き方はなんなんだよ
」
お客さん、逆ギレですか
私「抜けますね。」
うちの店は普通のキャバなので、基本は客のお触りは禁止だ。
こういう客の席に付いていて、耐えられずに勝手に抜けても怒られはしない。
だが頻繁に飲みに来てくれる客や、金額を多く落としていくいわゆるお得意様のお触りだけは店側は黙認していた。
私「あそこのテーブル超ムカつく
ケチでドリンク出さない上に無理矢理触ってくるから注意して
」
付け回しにトシがお触り客である事を伝え、スタッフが本人に次に触ったら強制チェックすると忠告をした。
はぁ〜〜〜イラつく
だからフリーの一巡目は付きたくないんだよぉ
ウィスキーをこぼした時に、アイツのスーツにもぶっかけてやれば良かったー(゜□゜)
この小説を読んでいるお触り客の皆様
触りたいのなら触れる事がサービスに含まれているお店に行って下さい
どうしても普通のキャバクラでお触りがしたいのなら、誰にも文句を言わせない位の太客になって下さい
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痛客名鑑 ©著者:咲
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