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2章:そのままで
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2章:そのままで
なぁ、覚えてるか?
もう、忘れちまったかな?
俺はお前のその言葉に救われたんだ。
『どしたのっ!?それ!!』
一番いい時だったんだ。
俺にとっては。
吉井: やべえよ
飛び出してきた車にぶつかって、大ケガした。
スネの骨折っちまって、しばらく部活出れねぇんだと。
俺は心底落ち込んだ。
ふざけんな!
せっかく来月、大事な試合があるっつうのに。
アイツは目ぇ見開いて、ホータイぐるぐるの足見てた。
みみ: 来月の試合は…?
吉井: 無理に決まってんだろ
みみ: ……
気ぃ聞かせて何か言おうとしてんの。
あいつ単純だから、すぐ顔に出んだよなー。
俺は急に悔しくなって、肩落とした。
みみ: 吉井くん…
吉井: ……
あんなに落ち込んでた俺見せんのも初めてだったかな。
今思うと、なんか無性に恥ずかしいな。
吉井: 俺……
みみ: んっ?
吉井: せっかく試合に向けて、みんなで練習頑張ってたのによ…
みみ: ……
吉井: あいつらの足、ひっぱっちまう
みみ: そんなっ…
吉井: 怖ぇんだよ。置いてかれんのが……
あいつは黙って俺の隣に座った。
シャンプーみてぇないい匂いがしたっけな。
吉井: 治らなかったりしてな…
みみ: ……
黙って隣にいてくれるだけで、すげぇ安心したんかな?
なんか、喋りすぎちまった。
吉井: 俺……バスケなきゃ、なんにもねぇし…
ビビった。
急にガバッてこっち向くんだもん。
みみ: ねぇっ、みみは吉井くんの全部が好きだよっ!
吉井: えっ…?
みみ: 足なんかすぐに治るよ!バスケが大好きな気持ちがあれば絶対すぐよくなる!!
あんまりデケェ声だすから、俺はあっけにとられてた。
みみ: ねぇ、もしバスケが出来ない吉井くんでも、吉井くんは吉井くんだよ!?そのまんまの吉井くんでいいんだよ!!
なんだこいつ?
意味わかんねぇよ。
だけど俺は、喉の奥がカーッと熱くなった。
なぁ、覚えてるか?
俺は、お前のそのデケェ声に救われたんだ。
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