「こんな時間に独りで
　何やってんの…？」





翔は不思議そうな顔で、
私を見た。





「蓮…、泣いてない？

　どうした…？」





私の様子に気付き、
心配した様子で歩み寄る翔。




いつもなら、
強がる場面だけど……





「寂しくて……」





この時の私は、素直だった。





居心地の良かった場所は、

もう、無い。





哲也が離れて、
君にも突き放されて……




私の孤独感は酷くて、




翔が自分に
話し掛けてくれた事でさえ、

本当に、嬉しくて、

仕方なかったの。





翔は私の言葉を聞いて、

何を言って良いのか
解らなかったみたい。




黙ったまま、
ただ、私を見てた。




そして、間を空けて、





「誰にだって、
　寂しい時はあるでしょ。」





ポツリと、言った。





翔は近くの自動販売機で、

ミルクティーを一本だけ買って、
私にくれた。




そのミルクティーが、


温かくて、

甘くて……





傷んだ心に、

切なく、沁(し)みた。