「よく雑誌に出てる
　ホスト居んぢゃん？

　席に着けてよっ」




酒が入って、
変に勢いづいた杏奈は、

席に着いていたホスト達に
強気な態度で言った。




目の前のホスト達は、苦笑い。




……そりゃ、そうだ。




杏奈の言い方は、

あんた達なんか眼中に無いって
言ってるようなもんだから。




「もう少ししたら
　着くと思いますよ。」




顔立ちの綺麗な、
まだ初々しい雰囲気のホストが、

冷静な口調で言った。




白い肌に黒髪で、
目鼻立ちの整ったその彼は、




『翔(しょう)』。




鼻と口元と両耳に合計7つ、
型の異なるピアスをしていた。




「杏奈ぁ～、

　そんな言い方したら
　失礼でしょ。」




杏奈を優しく叱る優花は、
多分、この翔を気に入ってる。




翔は、

『ホスト』というよりは
『ビジュアル系』で、




チャラチャラした雰囲気はなく、
この空間の中では少し浮いてる。




でも、悪くないと思った。




翔らしさ…

そう、個性の強さ。