次の日……




私は散々だった。




長い間、
安定して付き合ってきた
自分の指名客が、

新しく店に入って来た女の子に
あっさりと指名替えをした。




それだけでも、
充分 疲れたのに……




同じ客席に着いてた
女の子のドレスの裾が、

私のグラスに引っ掛かり、



新調したばかりのスーツに
飲み物が零れた。




出勤するまでは
気分が良かったのに……




昨日の安らいだ気持ちは、
一掃された。




胃がジクジクと疼くように痛む。




はち切れんばかりの
苛々が込み上げて、

仕事を早退した。




店の男性従業員に、
車で家まで送って貰った。




着替えもせず、

ベットに横になり……




指名替えをされた事で
生まれた嫉妬や、

スーツを汚された事で
生まれた苛々を、




どうにか処理しようと
必死になった。




でも、

そう簡単には
納まらなくて……




気を紛らわせる為に、
携帯電話の画面を開いた。




哲也に電話しようと
思ったけど……




やっぱり、止めた。