歌舞伎町の街が
少しずつ明るくなり、



ネオンが消えて、



朝を迎えた頃……




「そろそろ帰ろうか」




どちらからともなく
うちらは席を立った。




始発電車が動き始めたから、
JR新宿駅に向かって歩く。




区役所通りから
靖国通りを右に曲がると、



早朝なのに、

まだホストが
キャッチに出ていた。




「面倒臭いから、
　こっちから帰ろう」




うちらはホストを避けるように、
横断歩道を渡り、駅に向かった。




でも……




JR新宿駅東口の
駅前広場に着くと、

優花が気まずそうに
足を止めた。




「…蓮、ごめん。

　やっぱり顔だけ
　出してきていいかな？」




優花は
言葉足らずだったけど……




その言葉の意味は、
すぐに解った。




担当ホストに
会いに行くんでしょ？




どうせ
私は帰るつもりだったし、

優花が申し訳なさそうに
私の様子を伺うから……




「いいよ、行って来なよ。

　でも、
　あんまり金使わないで、
　程々にしなよ？」




明るく冗談を言った。




「今夜の仕事、
　遅刻しないでねっ。」




「解ったぁ〜♪
　また明日ねっ♪」




うちらは
そのまま解散した。