「もうすぐクリスマスだけど、
　蓮ちゃんは何が欲しいの？」




見栄っ張りな社長さんが
嬉しそうに私に聞く。




「欲しい物は
　あるんですけど、

　高いので……」




わざと勿体振る私に、
まんまと食いつく社長さん。




「試しに言ってみてよ〜。」




「『VUITTON』の
　バックなんですけど…」




「なんだぁ〜、

　車とか家とか
　言われんのかと思って
　ドキドキしちゃったよ〜(笑)

　『VUITTON』くらいなら
　買ってあげるよ♪」





『VUITTON』くらいって…

充分なんですけど。





「じゃあ…

　好きなモノ買ってあげるから、
　次は銀座でデートしよう♪」




社長さんはウキウキで、
私をデートに誘う。




「いつにします？

　忙しいでしょうから…
　社長の予定に
　合わせますよ？」





そんな流れで、

私の手帳は、
どんどん予定が詰まってく。




水商売をしている人間にとって、



『クリスマス』は、

恋人達の甘い行事でも
何でもない。




寧ろ、稼ぎ時なんだ。