私は本名を語りたくない。




本名が、妙に大切。




夜の世界に居る限り、
私はこっち側の人間で。




だから、

こっち側で知り合った人には、
本名は語りたくない。




本名で呼ばれると、

自分の本質に
踏み込まれた気がして…




苛々する。




水商売は私にとっても
夢の世界で…




だから、

夢の世界に居る時の私は、
違う名を語り、

その役を演じる。




夢の世界で知り合った人間は、
演じている私の事が好き。




私の本質なんて、誰も知らない。




知られたくもない。




だって、




本質に触れられたら、

素直な自分の気持ちを
受け止めて欲しいって、

期待しちゃうから……




その期待に
答えて貰えなかったら、

傷付くだけだから……




中途半端な恋愛感情で
掻き乱されたくないし、

傷付きたくもない。




恋もしたくない。




出来る事なら、

『独り』でも生きて行ける
『強さ』が欲しい。




どうしようもない寂しさなんて、
もう味わいたくない。