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6章:深酒の代償
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他に何もする事はなく、膝で眠る幸一郎君の様子を見守ること小一時間。
幸一郎君がようやく目を覚ました。
「幸一郎君!大丈夫?!」
「…樹里…さん?あれ?ここは?」
そう言いながらゆっくりと身体を起こした。
「コウ!気がついたのね?ああ、良かった。貴方は飲み過ぎてトイレで吐いて今まで寝てたのよ」
美優さんの説明に始めは朦朧としていたものの、徐々に状況が理解出来たのか両手で顔を覆った。
「…マジですか。恥ずかしい」
「とりあえず目が覚めて良かったわ。歩けるかしら?お店にも迷惑を掛けてしまったのだから早く帰りましょう」
“大丈夫”と言い立ち上がろうとする幸一郎君に手を貸す。
口では強がりつつもまだ足元がおぼつかない。
「美優さん、私の鞄をお願いしてもいいですか?それと幸一郎君の眼鏡を忘れないで下さい」
「ええ。本当にごめんなさいね」
美優さんに鞄をお願いすると幸一郎君の腕をしっかりと支えながら店をあとにした。
店を出るとすぐにタクシーが捕まり、店に謝罪とお礼をしていた美優さんが遅れて乗り込んできた。
「もうあの店には行けないわね。あれだけ迷惑掛けちゃったのだから」
美優さんが残念そうに呟いた。
かける言葉に困っていると美優さんは察したかのように話題を変えた。
「樹里?このまま家の前まで送るわね。明日は仕事かしら?」
「いえ、明日も休みです」
「あら、連休だったのね。明日は用事はあるのかしら?」
「いえ、特には」
「だったら良かった。明日もし早くから用事があるのだとしたら申し訳なさ過ぎてね」
「大丈夫ですよ。幸一郎君が目を覚ましてくれて良かったです」
幸一郎君を横目で見るとまだ酒が残っているのか呆然としている。
そうしているうちにタクシーは家の前まで到着した。
美優さんと幸一郎君を乗せたタクシーを見送り、部屋に入った。
疲れた…。
帰宅するや否や疲労感に襲われ、化粧を落とすと泥のように眠りについた。
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