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5章:夜会
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シャンパンを飲み終えると間髪入れず赤ワインが運ばれた。
料理も次々と運ばれ、舌鼓を打つ。
ウェイターが幸一郎君の空いたグラスに赤ワインを注ぎ足す。
「幸一郎君、ペース早くない?大丈夫?」
「大丈夫です。問題ありません」
本当に大丈夫なのだろうか。
そんな私の心配を他所に幸一郎君は赤ワインを水のように飲み干す。
何回か敏夫さんがたしなめたが聞く気配はない。
もうどれくらい飲んだだろうか。
突如、敏夫さんの携帯が鳴った。
メールを確認する敏夫さんの顔がみるみるうちに険しくなり、携帯をポケットにしまうとため息混じりに口を開いた。
「…すまないが仕事でトラブルがあって、明日は早朝から出なければならなくなった。だから今夜は先に失礼するよ。3人はゆっくりしていってくれ。美優、幸一郎を頼んだぞ」
敏夫さんはそう言うと財布から数万円を取り出し、美優さんに手渡すと足早に去っていった。
「主人は忙しいのよ。こんな事は日常茶飯事。だから気にしないで3人で飲みましょう」
美優さんはそう言うと赤ワインを飲み干した。
口では強がりつつも美優さんの寂しさが伝わり、胸が締め付けられた。
「…ちょっとトイレに」
今まで押し黙っていた幸一郎君がトイレに立ち上がった。
その足取りはおぼつかず、酔っているのは明らかだった。
「…樹里?今日の格好とても素敵よ。やっぱりシャツが似合うわね。樹里の凛とした美しさが際立つわ。それにそのタイトスカート、脚が綺麗だからよく似合ってるわね」
美優さんはそう言うとまるで品定めをするかのように私を眺めた。
「そんな…誉め過ぎですよ」
気恥ずかしさが襲い、視線を外す。
「私はね、美しいものが大好きなの。コウも年頃になって美しくなってくれて本当に良かったわ。あのままだったらどうしようかと頭を悩ませてたの」
話に花を咲かせていると美優さんは思い出したかのようにハッとするとトイレの方向を見つめた。
「コウ、遅いわね。かなり飲んでたみたいだから心配だわ。樹里、申し訳ないんだけど、様子を見てきてもらっていいかしら?」
「わかりました」
即座に立ち上がると嫌な予感を抑えつつ、トイレに向かった。
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