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1章:退屈 (5/5)

その後、全ての工程を滞りなく終わった。


「ありがとう、樹里。ああ、すっきりした」


美優さんはそう言うとコテでゴージャスに巻かれた髪を満足げに見つめた。


美優さんは週に1〜2回は来店される。


カラーリングやカットは月に1回程度なのだがトリートメントやヘアセットで足しげく通うのだ。


髪の毛に相当なこだわりを持っているらしい。


そんな生活を続けている為にfeelではVIP扱いだ。


「樹里?明日は休みよね?今夜は予定あるかしら?」


会計の際に美優さんがおもむろに口を開いた。


「いえ、今夜は特に。どうしました?」


「今夜は主人が仕事の付き合いで帰りが遅いの。良かったら久々に一杯付き合ってくれないかしら?」


美優さんとはプライベートでの付き合いもあった。


私がスタイリストになったばかりの頃、その頃から既にVIPだった美優さんは私を指名してくれたのだ。


初めてのお客様という事もあり、私の中で美優さんは特別な存在であった。


「はい、わかりました。終わったら連絡します」


躊躇う事なく了承すると美優さんは“待ってるわね”と微笑み帰っていった。


飲みに行くのは久々だな。


仕事も後少しだし頑張るか。


軽く肩を回すと仕事に戻った。


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禁猟区 ©著者:ゆえ

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