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1章:試み (1/2)

1章:試み

「飲めないの?」



私は担当に詰め寄った。


ヘルプ達が慌てて制止しようとするものの、私は止まるつもりはない。



「飲むの?飲まないの?」



私は再度担当の口元に、満タンのブランデーを突きつけた。




「ち、ちょっと待って、いきなりなんなの?イタいよ?」




―私はデリ嬢。顔もスタイルも並程度だとは思うが、店の女の子があまりにも少ないので稼げてきた。


店に通い出して、今月で半年。

使った額は、前回までで約930万。



半月ぶりに遊びに来た今日、私は80万のブランデーを入れた。


これで総額1000万を超えた。




私は今まで、彼の要求にはほぼ応えてきた。

No.1にさせてとの要求、
バースデーにタワーをしてとの要求、
プライベートで欲しがるものも、全部買った。
彼の携帯代も全額私が払ってるし、ガソリン代も私。


キャバで貯めた貯金は底をつき、デリヘルに行った。




彼は私を愛していると言う。


私も彼を愛している。



先々月、ふと思った。

産婦人科の待合室。
股がかゆくなり、性病の検査のために来た病院内で、私は愛されているのだろうかと。




店で彼が着くと、ずっと彼は私が買ってあげたニンテンドーDSで遊んでいる。
私はいつも今まで入れた20本以上のブランデーを飲んでいる。


誰も飲まないから、私がちびちび飲んでいるわけだ。




グラスがカラになっても彼はゲームに夢中、私がブランデーを自分で注いでいても彼は微動だにしない。



ヘルプがいれば、ヘルプが作ってくれるけど、いない時間もある。



彼は私をどう思ってるのだろう。



彼が私の家に来て、遊んでいるときと同じではなかろうか。



私は少なくとも彼を彼氏だと信じているし、彼は私を彼女だと言うが、店に来て多額のお金を払い、この扱いはどうなのか?



私はカンジダと診断された。

何回か通院して治りはしたものの、一つの結論にたどり着いた。



私は身体を張ってお金を作ってきている。
キャバの時も、苦手なお酒を飲んだり、イッキしたりして頑張った。


今回、性病になり改めてデリヘルは怖いと思った。



もちろん体調が悪かったせいで感染した可能性は否定できない。




…が、彼はあまりにもリスクが少ないのではなかろうか?

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リスク ©著者:kakeru

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