加奈と仲直りが出来ないていないまま、ラストの日まで残り２週間を切っていた。


加奈は見るからに覇気が無く、その日１日に呼んでる客数も少なくなった。

私は負い目から加奈の売上を心配し、部長に自分のラストの日の売上半分を加奈に付けて欲しいとお願いしたが、客から加奈が本指と言われない限りそんな事は出来ないと融通の効かない返答をされた。

客に「加奈も本指にして欲しい」とお願いして何組かは承諾を得たが、ピン客のほとんどにはＮＯと言われた。
客が１人で来ている場合、２人本指にするとセット料金が倍になってしまう為、ラストにシャンパンを卸そうとしている客からすると指名している女の友達まで義理で本指を入れるのは相当負担の様だった。

「私がセット料金と指名料出すから」と言ってもお茶を濁され、「最後くらいは２人きりで店に居る時間を楽しみたい」と言われた。
深追いすると機嫌を悪くして来てくれなくなる可能性がある為、現段階でそれ以上は言えなかった。


だがラストの日当日に客が「加奈も本指にしていい」と言ってくれるかもしれないから、いい気分で店に来て私のお願いに寛容になってくれるようマメに営業をした。