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5章:葵と奈々 (2/5)




「…奈々!おい奈々!」
誰かが私の名前を呼ぶ。鼓膜にまで上手く届かないその声を、少しでも聞き取りたくて必死に耳をすます。

私の事を"奈々"と呼ぶ人間を、私は二人しか知らない。あらかた予想はついたけれど、少しの可能性、一パーセントの奇跡に掛けて、私は声のする方に手を伸ばした。
顔を見ようと目を凝らすけれど、幾ら経っても焦点が合わず、あぁコンタクトが落ちたんだな、と諦める。

「奈々!大丈夫か?しっかりしろよ!」
耳が馴れてきたのか、声の男がさっきより近い位置に来たのか、イマイチよくわからなかったけれど、微かに感じ取った香水の香りを鼻の奥に感じると、私は涙が出た。
この男は彼じゃない。私がこんなに狂う程、待ち望んでいた人じゃない。

「ごめっ…あお…い…」
伸ばしていた手を握られた瞬間、また意識が無くなった。



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ワンルーム ©著者:立花 優

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