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5章:現実
「アミ〜VIP待ってるから急いで!」
「ハイハイ、すぐ行くよ!」
たまにはゆっくり顔面直させて…。
付け回しに煽られ急いで行った席。
「お待たせしました。アミさんです。」
「お邪魔しま…す。」
あれ?会ったことあったっけ?指名って言ってたけど。
「お久しぶりですぅ。元気でしたかぁ?」
とりあえず白々しく。
「覚えてくれてた?嬉しいな。」
男の声を聞いてフラッシュバック。思い出した!
「もちろんですよ〜。」
この店のオープン初日に来て名刺欲しいと言われた男だ。
40才位で声が低く、酒はあまり飲まない。特に印象的な人ではなかった。
「好きなの飲みなよ。」
「ありがとうございます。」
私はどこでもビールを頼む。カクテルとは違って氷が入っていない。
少しヌルくなると自然にもう一杯が頼まれているからだ。
「いただきます。」と乾杯。
「少ししか付かなかったし、呼んでくれると思わなかったですよ〜。」
「また来るね、って言ったじゃん。」
「そう言って来ない人も多いですよ。」
社交事例よね、また来るねって。
私も使うもん。
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19の花束 ©著者:伊藤 夏海
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