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1章:春 (1/42)

1章:春

最近ようやく春めいて来た、と美代は思う。
平日にこうして街中を歩くことが久しぶりだからかもしれない。
あたたかい陽射し、ふわふわの風に、切ったばかりの髪が、美容室の香りを振り撒いて踊っている。
単純だけど、自分は満ち足りていると思える。
表参道の木漏れ日が気持ちいい。

いつもなら、色褪せた制服を着て雑務に追われている時間だ。

先日、美代は会社を辞めた。
短大を出てから勤めて7年が経っていた。
お茶くみ、コピー取り、電話対応、伝票整理、簡単なお使い。それが美代の生活だった。
淡々とした仕事は合っていたと思う。重い責任など取りたくはないし、同僚とのお喋りは楽しかった。

ただ、それらは美代の7年に刺激を与えなかった。
当たり前だが、幸せの保証もない。

毎日同じ時間に、同じ作業をしている。それだけの7年だった。
十分な時間だ。
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梅雨のころの私たち ©著者:陽炎

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