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6章:思い出をきざむ場所 (1/1)

6章:思い出をきざむ場所

父が買った家はちょっと古めかしい中古の家だった。

縁側があり、障子やふすまのある昔ながらの日本家屋だった。

多分、このあたりで農家をしていた地主の分家か何かで、何かの事情で急に手放したのだろう…。

庭には物置があって、中には前に住んでた家族が置いていったガラクタがいくつか忘れ去られていた。


ゴムのプール、子供の自転車、杵と臼。ビニールのバット、釣り竿、スキーの板。そんな子供の成長が手に取るように分かるものばかりだ。


「男の子がいたんだね…」

引っ越して来た日に、ポツリと母が淋しげに独り言のように呟いた言葉を印象深く覚えている。


のちにここは、私たちがことある度に、様々な思い出を刻む場所となった。


あるときは、叱られて反省するまでは、出して貰えない牢獄となり、又ある時は、親には内緒の秘密基地となり、

また、あるときは 「捨ててらっしゃい」と厳命された子猫の仮の宿となった。

夏休みに行方不明になった亀が、捜索願いも虚しく、皆に忘れられた年末の大掃除の日に、見る影もない白骨遺体となって見つかった場所でもある。

のちに「亀、行方不明事件」と命名されて、今でも語り草になっている事件である。

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セキララ ©著者:吾が肺は2個

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