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2章:電話 (1/1)

2章:電話

あのときの続きとはいつか…


それは私の結婚式の披露宴で、私が最後に読むスピーチの原稿を考えていたときのことである。


単なるお礼の言葉を並べただけの挨拶であってはならない。


けれども、気の利いた名文など、私に書けるはずもなかった。


そんなときは、困ったときのおじさん頼りで、私は秋生に電話をした。


「もしもし、秋チャン 今ね、スピーチの原稿を考えてたんだけど、全然アイデアが思い浮かばないんだ…


ねぇ、何書けばいいと思う? 」


寝ぼけ声の秋生はしばらくは頭が働かないようだった。


「うん…ほぁぅ」

「そうだな…ふぅむ」

生あくびをしながらも、決してめんどくさい素振りなど微塵も感じさせないこの人は、やっぱり優しい人だと思う。



「昔さ、蛍が小学生のとき書いた作文があったろ」


「あれはみんな感動してたよ」


「えっ…」

「何だっけ?」


「まだ蛍のお父さんが元気だった頃、作文コンクールで表彰されたことがあっただろ」

「あれ良かったよ」

「よく覚えてるね!?」

「うん‥覚えてるよ」


「そうなんだぁ」

「でも私は忘れちゃったよ。なんだっけ?」


「私の母ちゃん、バカ母ちゃんだよ」


「えっ…」

「あーー、思い出したぁ」

「恥ずかしいなぁ」


「あれを引用すれば?」

「どっかいっちゃったよ…」


「それにどうしてみんな泣いてたのか、私は子供だったから、いまいち解らなかったし…」


「みんなが最初、大爆笑してくれたのは、嬉しかったなぁ」


「ねえ…どうしてみんな最後のほうで泣いてたの?」


「うん…それについては、まぁ、長くなるからまたの機会に話すよ…」


話はそれきりになって別な話題になってしまった。


翌日、母に聞いたら、その作文は案の定、大切に保管されていた。

そして、その曰く付きの運命の作文と再会したのだった。

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セキララ ©著者:吾が肺は2個

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