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25章:メリーゴーラウンド (1/1)

25章:メリーゴーラウンド

線路沿いの軽井沢高校の裏手にあるダラダラ坂を北へ登っていくと閑静な別荘地に入る。

その一角にペンション「蒼の杜」はあった。

離山という地名。

木立の中をペンションから自転車に乗って、ゆっくりと坂道を下ったり登ったりしながら私たちは旧軽銀座へと向かった。
最初は砂利道ばかりが続いた。

野生の猿が遠くで道を横切った。

私たちは得体の知れない森の中へ迷い込んでいく、つがいの草食獣のような気さえして来た。

森の放つ苔むした匂いが鼻をつく。

うぐいすが、けたたましく警戒心の鳴き声で威嚇してくる。

突然、深海から吹いて来たような冷たい空気の中を走り抜けた。

頬をかすめる風は、冷凍庫を開けたときに浴びるあの冷気のようだ。

広い自動車が走る通りに出たら、

道沿いには小さな教会があり、野菜だけの食材で作るフランス料理を出すレストランがあり、手入れが行き届いたガーデニングのお屋敷もあった。

そうかと思えば、草が伸び放題に生い茂り、よく見ないと単なる空き地のようになっている別荘もあった。

私は龍ちゃんの背中を見つめながら、後から付いて行きながらゆっくりと風景を楽しんだ。


砂糖菓子みたいな家や草花や、絵本でしか見たことがないような不思議な形をした屋敷の前を通り過ぎた。


木の上に作られた子供の秘密基地小屋がある庭があるかと思えば、

蔦の絡まる古い洋館が
廃虚になっていた。

去年のリーマンブラザーズショックの不況の影響なのか、売りに出された別荘も少なくない。

さら地にされたばかりの土地が妙に物悲しい雰囲気を醸し出していた。


様々なめくるめく風景たちは、まるでメリーゴーランドのように二人に訪れては消えていった。


そうして、やっと旧軽銀座へとたどり着いた。
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セキララ ©著者:吾が肺は2個

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