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21章:謎の二人連れ
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21章:謎の二人連れ
軽井沢・プリンスホテルの ショッピングプラザは大きく二つに分かれていて、ウエストとイーストがある。
WASTのカジュアルウエア売り場でまず、下着を買い、部屋着を買い、次によそ行き用の服を…。
対して選びもしないで手に取ったものを、次々に龍一は買い物カゴに入れていった。
え?そんな買い物の仕方ってあるの?
もうちょっとちゃんとじっくり吟味して選べばいいのに…。
口こそ出さなかったけど、私は驚いて、なすすべもなく立ち尽くしていた。
こういうときは、半ば半笑いしながらただ眺めているしかない。
こういうときの龍ちゃんに、何を言っても無駄なことを、この四年近い付き合いの中で、私はいつとは無く学習した。
そんなときだった。
ロマンスグレーの綺麗な銀色の髪の色をした老紳士と背の高いニューハーフのお姉さんの二人連れを見かけた。
生でじかにニューハーフのお姉さんを見たのは生まれてはじめてだったから、ちょっとびっくりしてしまった。
テレビではよく見かけるけど、そういう人がいるお店に行ったことなどない私にとっては新鮮だった。
ただでさえ、目立つ組み合わせの謎の二人連れ。
平日のハイシーズン前の行楽地のアウトレットモールでひときわ人目を引くのは仕方ないよね。
そう自分に都合の良い理由を並べて、悪いけど、ちょくちょくチラ見させて貰った。
男性のほうは、社会的にも年齢的にも立場ある人なのだろう、そんな特殊な二人連れをしている自分を恥入るように、どこか晴れ上がらない表情をしている。
品は確かにあるけど、ちょっとぎこちない表情を浮かべていた。
一方、お姉さんはウキウキしていて本当に嬉しそう。
本物のピカピカの笑顔をしていて楽しそうに洋服を選び、腕に絡みつき甘え、ときには内緒話を耳元で囁きもしていた。
華やいだ彼女の気分が自然とこっちまで伝わってくる。
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セキララ ©著者:吾が肺は2個
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