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20章:アウトレットモール
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20章:アウトレットモール
荷物をバスロータリーの脇にあるコインロッカー小屋へ預け、アウトレットモールへ行った。
凜とした空気に包まれ木製の床に二人の足音がコツコツと響いた。
まだ店は開店したばかりでお客さんも少ない。
モダンなログハウスのコテージが遠くにかすんで見える。
手をつないでゆっくり歩いた。
春先に龍一からプロポーズされて今回の旅の中で返事をするつもりだった。
もちろん、良い返事をするつもりだし、龍ちゃんもそれを信じている。
でも蛍の胸の中には小さなわだかまりがずっとあった。
まだ龍ちゃんに秘密にしていることがあるからだ。
多分、驚くよなぁ…。
それを打ち明けて、わかった上でもう一度プロポーズして欲しかった。
いつ話そうか?
タイミングが難しいなぁ…。
まぁ、何とかなるでしょ。
最終日の夜でいいや…。
龍一「最近、全然まともに服買ってないからたくさん買うよ」
そう言ったはいいが、龍一の顔は寝ぼけまなこ。
疲れてるのは分かるけど、もう少し楽しそうにしてくれないかな?(笑)
蛍「いいけど、大丈夫なの?何かすごく疲れてるみたいだけど…」
龍一「え?うーん、眠いだけだよ。ずっと残業続きだったからさ」
「休むために頑張ったんだ」
そう言って力なく笑う龍一なのだが、中途半端な笑顔はちょっと痛々しく不気味だった(笑)
聞けば着るものは何も持って来てないらしい。
ここで過ごす服は全部ここで調達するんだって!
呆れる。
龍一「さぁて…。ちょっと気合い入れるか!」
そういうと首をグリグリ回し、指の関節をポキポキ鳴らした。
ご丁寧にアキレス腱まで伸ばした。
お願いだから、そういう仕草は止めてほしい。
オヤジ臭いことこの上ない。
何か嫌な予感がする…。
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