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37章:私が良い子になった日 (1/1)

37章:私が良い子になった日

新しい父母と一緒に暮らし始めた頃、私は実は悪い子供だった。

一人で留守番してたのに、おやつを食べて、

食べたのは私じゃないよと平気で嘘をつく子供だった。

母がポヤンとした間が抜けた感じの人だったから、そっとお財布からお金を抜いて、駄菓子屋で買い食いする子供だった。

一度成功すると、二度目三度目は、もうあんまりドキドキはしなかった。

でも、ある時見つかってしまったのだ。

罰が悪いことに、お財布からお金を抜く瞬間を母に見られてしまったのだ。

万事休す。また私は捨てられるんだろうなと諦めた。

こんな悪い子いらないもんね…。
そう思ったときだった。

私を叱りもせずに、目にいっぱい涙を溜めて、

仏壇の前に座って、ただただ泣く母を私は見た。

どうか、この子がよい子になりますようにと、誰かにお願いしますと泣いていた。

こんな優しい母を私は沢山裏切り、泣かせてしまったのだった。

母は何も悪くないのに謝っていた。

母は何も悪くないのに泣いていた。

私はびっくりして、ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい、

もうしませんから捨てないでと、泣きじゃくって母に抱きついていた。

初めて養母に心を許して、甘えるように泣いていた。


あの日から、私は素直なよい子になったのだ。


もう絶対、こんな優しい人を悲しませたり出来ない。

もう二度と、大好きな人を裏切らない。

それは、小さな胸に灯った強い決意となった。


あの日から、私たちは親子になったのだった。
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セキララ ©著者:吾が肺は2個

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