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30章:ペンションに帰ってから
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30章:ペンションに帰ってから
ペンションに帰ってから…
プロポーズを受ける前に、聞いてほしいことがあるの…。
と私はゆっくり切り出した。
実は私はね…龍ちゃん、父とも…母とも血が繋がってないんです…。
そこまで言うと、私は鼻先が熱くなった。
目頭が熱くなり潤んだ。
静かな夕暮れ時だった。
龍ちゃんの肩越しの窓の外の、常夜灯が一つポワンと灯った。
とても優しく、とても暖かく。まるで私を励ますかのように…。
私が告白しただけで、龍ちゃんはみんな受け止めてくれる目をしてた。
嬉しかった…。
私はもらわれっ子だった。
でも確かに、私の実母が、私を身ごもっていたいたとき、母は約30年前、ここに来たのだ。
それは本当…。
実の母は五十嵐という女性で、育ての父母と龍一の上司の秋生とその他、何人かで軽井沢音楽祭に来ていたのだ。
私は高鳴る胸を押さえつつ、ちょっと待ってねと言って、お茶を持ってバルコニーに出た。
しばらく一人で泣いていいよね…。
サンダルがヒヤッと冷たくて、ちょっとビックリした。
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